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子供じゃないもん'17

生きるって超せつない

夏のはじまり




桃色の景色はいつの間にか
青い緑でいっぱいになっていて
半袖にサンダルでも
ぜんぜんへっちゃらな季節の変わり目

つめたい麺がたべたくて
あなたを迎えに車を走らせる
チェーンのうどん屋さんに行って
あなたは欲張って大盛り揚げ2つ
わたしは半熟たまご

タワレコでニューシングルかって
あっついねってアイスをたべた
あなたはオレンジ、わたしはバニラ

もうお腹はいっぱいだったけど
ラムネを買って2人で飲んだ
彼の服にしゅわりと飛んだ
あーあと言って笑いあったね


夏を開催します
わたしたちだけの夏のはじまり
ガラスが転がる音がして
夏ってこうやってはじまるんだね
夏が来るまでわたしたちだけの夏



はしゃいで笑って
いつもの場所へ
帰ってふたりで眠ろうね

窓から風と子どもの声
あなたの中から
揺れるカーテンを見つめてた

いつまでもこのままでいたい
このまま夏のはじまりだけでいい
少ししか読んでいない長編小説みたいに
わたしはずっとこのままがいい


君にくっついた肌と肌のすき間
あせがにじんでるんだろうな
でも今は、ひとつになったから
そんなことはどうでもいっか。

わざと忘れた腕時計
それを見て私を思い出してね
君に逢えるのなら
私簡単に嘘つけちゃうの



夏が終わる直前に
街で君を見つけた
今日も半袖サンダルなのね
見たこともない幸せな顔

かわいいあの子と
アイスをたべてる
君の夏は楽しそうだね


君が飲みほしたラムネが
足に当たって痛かった
からんころんと鳴るガラス玉は
あの時とは違う音みたい


わすれものを届けてくれた
君は、いつもどおりで
わたしも何もなかったみたいに
また君の中で眠りにつく


線香花火みたいな幸せでも
君がくれるから、うれしいよ



夏がおわるね




卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう


 2017年3月23日、 わたしは大学を卒業した。 
 今日書きたいのは、 卒業するまでの大学生活を振り返ったとか そういうのじゃなくて、 


 学生として見られる本当に最後の日で、
 社会人になる直前、 3月31日の夜のことです。 
 
 






 その日は仙台できのこ帝国のワンマンがあって、
わたしはそのチケットを2枚もっていた。
 ひとつは、大好きだったあの人のぶん。
 それ以外考えていなかったから、 
初めに断られたときショックだったのに 
平然としてるフリをしたのを覚えている。 
 
 






もういちど、誘ってみよう 
彼が来なかったら、
このチケットは 破り捨てて
ひとりで仙台に行こう 
 
そう思っていた。 









「私の最後のわがまま聞いて」と 
ライブ当日の午後2時頃に連絡した。
 頑固な彼はどうせ行かないと言うだろうな〜と、 
ひとり準備しながら考えていた。 

 
でも彼は、私が最後のわがままと言ったのが 
ひっかかったのかもしれない、
とにかく 「行く」と言ってくれた。 


まさかだった。びっくりしてしまった。 
「なに着ようかな〜〜」なんて言い出す始末で、 
神様ありがとうと思った。 
 
 
 








出発前にイオンモールのフードコートで
うどんを食べて腹ごしらえをし、
 彼を軽自動車の助手席に乗せて
他愛もない話をしながら
約3時間高速道路を走りぬけた。

 駅に着いたら、
彼は「服を見たい」といい
 nano universeへ向かった。 
かわいい服がたくさんあって、 
落ち着いたお洒落なヒゲのお兄さんが 
優しく接客してくれた。 





 彼はネットで見て欲しがっていた 
薄手のネイビーのチェスターコートを試着した。 
めちゃくちゃ似合っていてかっこよかった。 

わたしが「買ったら?」 というと、
彼は買うよ、と言って 
11,000円の春アウターを買うのだった。



 
 そこから歩いて仙台darwinに行って 
時間ギリギリに行ったために 
人がもうわんさかいた。


 会場に入る前に荷物だけいれようとしたら もう空いているロッカーはなかった。

 彼はずっとnano universeのショップ袋を 手に下げてライブをみることになった。








はじまってすぐに歌詞が 
ズキズキと突き刺さって、泣いた。 


彼にはたくさん傷つけられたけど 
よくここまで好きでいたなぁと 
自分をほめたくなった。 


もう楽になっていいんだよと 
ちあきちゃんに言われているような気がした。 





わたしの後ろで、彼は どんな顔をして、
どんな気持ちで この曲をきいているんだろう、と 
気になって何度か振り返りたくなったけど 
がまんした。 





今日はお別れの日なんだと、 
もうこの人を好きでいてはいけないと 
自分に必死に言い聞かせて 
わたしの好きがあふれないように。 

ナノユニバースの袋を片手に 
ぎこちなく拍手しているだろう彼を
 愛しいなどと思わないように。
 








だいすきな彼との曖昧な関係は 
今日でケリをつけようと考えていた。
 会いたくなる禁断症状を 
何度も強く断ち切って、いきようと 
仕事に集中して、忘れようと。 




だからそのぶん今日だけは 
いつもよりたくさん素直でいたかった。 
見えないものに傷つけられる日々を 
終えたくて必死にになっていた。 










ライブがおわってTシャツとキーホルダーを 買って
2人で「破産だね」と笑いあった。

 仙台で食べる大戸屋のごはんは 
なにか違う味だった気がするけど 
よく覚えていない。 









帰り道、疲れていた彼は 
リクライニングシートを最大限に 倒して、
2時間寝尽くしていた 






やっぱりこの人に大切にされることなど 
一生ないのだなぁなんて考えながら 
今日のライブでやったきのこ帝国の曲を
小さな声で口ずさんで、運転した。 











最後まで甘えに甘えてしまって 
その夜は彼を抱き締めて、
いや 私が一方的に抱きついたが正しいかな 
とにかくふたりとも疲れていたから
ぐっすりと眠った












次の日の朝何事もなかったように 
バイトに行く彼を見送った 




彼は何か察したのか 
いつも言わないくせに 
「ありがと、またね」といった 

胸がぎゅーっとなったけど、
 わたしは「じゃあね」と返した 

彼が見えなくなってから さよなら、
と、心でつぶやいた。 















 4月になって、桜が咲いた。 
まだ少し寒いけど 
厚手のアウターをクローゼットの奥にしまった。 











わたしはいそいそと服を着て 
会社へ向かう準備をする。 










「ねえ、お花見しよ」 と、彼がつぶやく 
「いいね、花見したいな。いつ?」 
と、私は聞いた。 














 「いま」 
















 彼が窓を開けるとそこには 
7分咲ほどの桜の木がたたずんでいた。 








あぁ、そうだったね。 
あなたを好きになって、
もう 季節を四つとおりすぎたんだ。 
また同じ春がきたんだ。 
1年前の夜に、この木をみたこと 
おぼえているよ。真夜中の桜だった。 
















 「いってきます」 


「いってらっしゃい」 





 通い慣れたその家のドアをあけて わたしは自由に飛び立った

木綿のハンカチーフ


いいえあなた

わたしは欲しいものはないのよ

ただ 都会の絵の具に

染まらないで帰って

染まらないで帰って




知らない人だらけの都会のど真ん中で

ふたりだけが知ってる世界を歩いて

「じゃあね」も言わずに

ぶっきらぼうに去っていく

昔とちっとも変わらないあなたの背中を

しばらく見つめていた2年前の秋ー





私にも華のJK時代ってのがありました。


毎日朝早く学校に来て、

みんなとおしゃべりして

授業中うっかり寝ちゃったりなんかして

四限目が終わると購買に駆け出して

放課後は部活で木の低い音を鳴らして

長い下り坂を、みんなで歩いて帰った。


クラスも部活もちがうたくさんの人が

最後の汽車に乗り込んで、

私は当時好きだった彼の存在を気にしながら

友達と今日のできごとを話した。


遠方から通うサッカー部の彼に

自分が降りるときに

「じゃあね」

と言うのに、いつも勇気を振り絞った。

彼はいつも片手を少しだけ挙げて

ッス、と小声で呟いて応えてくれた




高校に入学して初めてのクラス。

はじめは目つきが悪くて、

拒絶されてるようで、

こわくて話しかける気にもならなかった

たまたま一緒の委員会に立候補して

たくさん話しかけるけど、

なかなか心を開いてくれなかったね。


ある日、彼が銀杏BOYZを好きなことを知って、世界の輝きが増したのを覚えてる。

いつも教室の隅でお弁当を食べるときに

君がしているイヤホンから流れてるのは

それだったんだ。ふぅん。うれしいな。


そうやってだんだん惹かれて、

友だちとのお泊り会で、電話して

私から告白したんだっけ。

「がんばれ!いけいけ!」なんて

そばで友だちに励まされながら…


告白の返事は「おっけーよ!!!」

あっちもお泊り会中で、お互い大爆笑。

私は嬉しくて泣いてたっけな。



付き合ってすぐの私の誕生日には

ポッキーと、銀杏BOYZのCDを焼いてくれた。

プーさんのメモ帳に、

丁寧に曲目が書いてあって、

わたしはこの人と付き合えてよかった!って

とっても喜んだのを覚えてる。

彼は「そんなにうれしい?こんなんで申し訳ないよ…」なんて言ってたけど

私は本当にその時嬉しくて、舞い上がってたんだよ。



冬休みに入って、毎日のようにデートした

初めて私の最寄駅から彼の最寄駅まで

知らない道を車窓眺めながら行った時、

毎日この風景をみてるんだって思って

たまらなく愛しくなったのを覚えてる。


手をつないで散歩して

抱きしめあって、キスして

少しずつくっついていったね。


2人で朝まで長電話した日には

次の日眠くて仕方なくて。

授業中つい居眠りしちゃったとき

後ろに座ってる彼からメールで

「寝てるでしょ(笑)あーもうかわいい。」

なんて言われちゃったりなんかして、

幸せすぎて脳がとろけて

完全なアホになっていたなぁと思う。



彼は透き通った茶色の目をしていて

その目に全て見透かされそうで

いつもドキドキしてた。

周りに流されない軸を持ってて

努力を怠らない、真面目な人だった。

優しくて、ちゃんと私を

大切にしてくれてるのが伝わってきた。

だいすきだった。愛してた。




そんな幸せな日々も長くは続かなかった。

しかもそれは突然やってきて

恐ろしい巨大な力で

私たちから想像できないほど

たくさんの大切なものを奪って

何もかも変えてしまった。