子供じゃないもん'17

生きるって超せつない

木綿のハンカチーフ


いいえあなた

わたしは欲しいものはないのよ

ただ 都会の絵の具に

染まらないで帰って

染まらないで帰って




知らない人だらけの都会のど真ん中で

ふたりだけが知ってる世界を歩いて

「じゃあね」も言わずに

ぶっきらぼうに去っていく

昔とちっとも変わらないあなたの背中を

しばらく見つめていた2年前の秋ー





私にも華のJK時代ってのがありました。


毎日朝早く学校に来て、

みんなとおしゃべりして

授業中うっかり寝ちゃったりなんかして

四限目が終わると購買に駆け出して

放課後は部活で木の低い音を鳴らして

長い下り坂を、みんなで歩いて帰った。


クラスも部活もちがうたくさんの人が

最後の汽車に乗り込んで、

私は当時好きだった彼の存在を気にしながら

友達と今日のできごとを話した。


遠方から通うサッカー部の彼に

自分が降りるときに

「じゃあね」

と言うのに、いつも勇気を振り絞った。

彼はいつも片手を少しだけ挙げて

ッス、と小声で呟いて応えてくれた




高校に入学して初めてのクラス。

はじめは目つきが悪くて、

拒絶されてるようで、

こわくて話しかける気にもならなかった

たまたま一緒の委員会に立候補して

たくさん話しかけるけど、

なかなか心を開いてくれなかったね。


ある日、彼が銀杏BOYZを好きなことを知って、世界の輝きが増したのを覚えてる。

いつも教室の隅でお弁当を食べるときに

君がしているイヤホンから流れてるのは

それだったんだ。ふぅん。うれしいな。


そうやってだんだん惹かれて、

友だちとのお泊り会で、電話して

私から告白したんだっけ。

「がんばれ!いけいけ!」なんて

そばで友だちに励まされながら…


告白の返事は「おっけーよ!!!」

あっちもお泊り会中で、お互い大爆笑。

私は嬉しくて泣いてたっけな。



付き合ってすぐの私の誕生日には

ポッキーと、銀杏BOYZのCDを焼いてくれた。

プーさんのメモ帳に、

丁寧に曲目が書いてあって、

わたしはこの人と付き合えてよかった!って

とっても喜んだのを覚えてる。

彼は「そんなにうれしい?こんなんで申し訳ないよ…」なんて言ってたけど

私は本当にその時嬉しくて、舞い上がってたんだよ。



冬休みに入って、毎日のようにデートした

初めて私の最寄駅から彼の最寄駅まで

知らない道を車窓眺めながら行った時、

毎日この風景をみてるんだって思って

たまらなく愛しくなったのを覚えてる。


手をつないで散歩して

抱きしめあって、キスして

少しずつくっついていったね。


2人で朝まで長電話した日には

次の日眠くて仕方なくて。

授業中つい居眠りしちゃったとき

後ろに座ってる彼からメールで

「寝てるでしょ(笑)あーもうかわいい。」

なんて言われちゃったりなんかして、

幸せすぎて脳がとろけて

完全なアホになっていたなぁと思う。



彼は透き通った茶色の目をしていて

その目に全て見透かされそうで

いつもドキドキしてた。

周りに流されない軸を持ってて

努力を怠らない、真面目な人だった。

優しくて、ちゃんと私を

大切にしてくれてるのが伝わってきた。

だいすきだった。愛してた。




そんな幸せな日々も長くは続かなかった。

しかもそれは突然やってきて

恐ろしい巨大な力で

私たちから想像できないほど

たくさんの大切なものを奪って

何もかも変えてしまった。