夜の隙間に抱かれて
明日はやいからと
時計の針がてっぺんで重なる前に
少し冷めた布団に入る。
いつも夜更かししている人が
そんな簡単に寝れる訳がないのだけど
深い呼吸をすることに集中してみたり
ベタとわかっていながら羊をかぞえたり
一応、がんばってみる。
どうしてだろう。
寝よう寝ようと思うほど
どんどん脳が覚醒してくる。
目が冴えてくるのだ。
もう無駄だと諦めて体を起こし
近くにあった飲みかけのペットボトルに手を伸ばす。なんだか夜の味がする。
カーテンの隙間から街灯の光が差し込んで
もうしばらく読んでいない本たちを照らしている。
眠ることを諦めた夜。
まるでドラマの主人公みたいに
夜が私を輝かせる。
そうだ、散歩に行こう。
いかにも気怠そうなスウェットのまま
私は夜への扉を開けた。